[WSレポ]立春のおみそ仕込み Miso, Fermented Soybean Paste, Jap...
[材料の五感体験]
つくり始める前に、材料を
ひとつひとつじっくり見ていきます。
固定種の無農薬大豆、無農薬米の米糀、
ソラノサトで醸した無農薬玄米糀、珊瑚の島の釜炊き塩、
ソラノサトで煮詰めた日本海の海塩、よい地下水等です。
大豆の形、色、種類、海塩、岩塩、海、体内の水、生命…
みんなでいろいろ話しながら、
香りをかいだり お塩を舐めてみたり、
材料を五感体感。
縁側で水を吸わせ、旨味を逃さないため
煮汁をなるべく残さないよう炊く。
小指と親指で簡単につぶせるくらいに柔らかく煮た大豆を味見。
おいしー。
[お味噌作り]
今回はエンバランス加工(*3)の密封袋を使う方法。
麹菌が作った酵素を使うため、ボウルの中で麹と塩を混ぜる「塩切り」をします。
ビニール袋の中で大豆をつぶします。
作業は好きなところでどうぞと言うと、
ぽかぽか立春のおひさまの窓際の好きなところに行くみなさん。
(すてきですねえ)
そこへ塩切り糀を加えてもみもみ。
空氣を抜くようにおだんごにして、ぎゅ、ぎゅと袋に詰めます。
空氣が入らないように詰めて密封することでカビ対策に。
常温で半年~10か月ほど寝かせたらできあがり(*4)。
[いただきます]
おむすびとお味噌汁。
美味しいなあぁと食べたなら、
データや情報は頭に残らなくていいと思っています。
先人の智慧は特別な人だけのものではなく、
誰もがいまその土地でそこにいる人とできる。
智慧で身体を健やかにして、自分のいのちをつかって表現したいことをしていこう。
*10か月後…おいしいおみそできたよ!
[味噌の医者いらず]
『味噌汁は朝の毒消し』『医者に金を払うより味噌屋に払え』…
大豆に糀を加えて発酵させた日本の伝統発酵食品。
大豆に元々含まれている栄養素が、発酵の過程でより豊かに増幅される(*1)。
原爆投下後の長崎、のちにチェルノブイリ原発事故の被ばく者にみそ汁の常食を勧めて原爆症の発症を抑えた(*2)。
*1タンパク質、食物繊維、大豆イソフラボン、レシチン、サポニン、リノール酸、コリン、不飽和脂肪酸、
必須アミノ酸9種すべて(バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、リジン、フェニルアラニン、トリプトファン、トレオニン、ヒスチジン),
ビタミン(B1、B2、B3(ナイアシン)、B5(パントテン酸)、B6、B7(ビチオン)、B9(葉酸)、B12、E(トコフェロール)、K、)
ミネラル(ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛、銅、ヨウ素、セレン、クロム、モリブデン)
*2 「長崎の原爆投下直後から、献身的に被災者の救護・治療に活躍された、聖フランシスコ病院の秋月辰一郎医師は、「昭和20年8月9日の原子爆弾は長崎市内を大半灰燼にし、数万の人々を殺した。爆心地より1.8キロメートルの私の病院は、死の灰の中に廃墟として残った。私と私の病院の仲間は、焼け出された患者を治療しながら働きつづけた。私たちの病院は、長崎市内の味噌・醤油の倉庫にもなっていた。玄米と味噌は豊富であった。さらに、わかめもたくさん保存していたのである。その時私といっしょに、患者の救助、付近の人びとの治療に当たった従業員に、いわゆる原爆症が出なかった原因の一つは、「わかめの味噌汁」であったと、私は確信している。」と、著書「体質と食物」(クリエー出版)に書かれている。
「わかめの味噌汁と玄米食」で自分の結核を克服したと信じていた秋月医師は、スタッフ全員に「わかめの味噌汁と玄米食」を勧めていた。また砂糖(甘い物)は避けるように指示した。そのおかげで、医師・看護師らは獅子奮迅の働きで多くの命を救い、原爆症を発症したスタッフは一人もいなかったという。味噌(大豆)のたんぱく質やビタミン・ミネラル、わかめのミネラル(ヨウ素やカルシウムなど)・繊維、玄米のビタミン・ミネラル・ファイトケミカル(フィチン酸・フェルラ酸など)等々の総合力によって放射能の害を抑えたとしか考えられない。
広島の原爆では、9歳で被爆した少女が玄米食で奇跡的に回復し、その後結婚されて7人もの子宝に恵まれた。佐和子さんは外で遊んでいる時にピカドンの爆風で飛ばされ、屋根から転がり落ちて我に帰った。足の裏まで焼けた全身やけど(髪の毛も眉毛も黒こげ)のなか、必死の思いで母親を見つけ出した。全身に水をかけられ病院に運ばれ即入院。奇跡的に一命を取りとめたものの、ケロイド(やけどの傷跡)は切っても切っても盛り上がり、夏場はその傷口からウジがわいて、そのウジを取って暮らすのが辛かったという。高校生になるまで、母親は佐和子さんに鏡は一切使わせなかった。こんな醜い顔では結婚もできない。原爆症で白血球も肝機能も低下し、生きる支えはただ一つ、勉強して研究者になり原爆・放射能の研究をしようという思いだった。
彼女は猛勉強をして広島大学工学部に入学、放射能の研究一筋の生活に入った。そして玄米食をしていた平賀先生と巡り合う。先生は暇さえあれば佐和子さんを山へ連れ出し、山菜や薬草を取りに行き、「玄米を食べて治らない病気はない。身体の浄化作用をするのは玄米の働きだから、玄米を食べれば原爆症だって治る」と言って玄米食を勧めた。その言葉を信じて玄米食を始めた佐和子さんの身体に、数カ月で変化が起きた。あの焼けただれたケロイドの皮膚がポロポロと剥がれ落ちてきたのだ。髪の毛も眉毛も元通りに戻った。そして平賀先生と結婚、なんと7人の子供を生み育てたのだ。これも命ある玄米や野菜・海藻の総合力以外の何物でもない。
最後に秋月医師の著書より。「日本人は米・麦が主食で、副食として何が一番優れているかを考察すべきである。米・麦飯には、やはり何といっても、油揚、わかめの味噌汁が傑作である。」食生活は種々の食物の総合力であることは明らかだ。普段から野菜・海藻多めの日本食で主食は玄米に努めることは勿論だが、原発の事故により放射能が放出されている非常事態の今こそ、玄米・大豆(味噌など)・野菜・海藻の総合力によって多くの人々が何としても自らの生命と健康を守っていただきたいと思う。」
NPO法人 日本綜合医学会 理事 井上 明氏
*3 プラスチック原料に抗酸化・活性化作用を加工した製品。
*4 3ヶ月頃:黄色、塩辛い、こなれてない、もそもそ 6ヶ月頃:赤褐色、塩辛さがこなれてくる、まだ尖ってる、パサつき 10ヶ月頃:茶褐色、マイルド、バランスがとれてくる、つややか 2年以上〜:黒っぽい、独特の風味、ねっとり、栄養価が増している